親子の関係は切りたいと思っても切れないものです。
基本的に親は子を可愛いと思うもので、出来が悪かったとしても、甘やかしてしまいがちです。
子供の借金に気がついた親
50代男性のAさんも、そんな親の1人です。子どもは立派に育ち、一流大学を出てサラリーマン生活をしたあと、独立しました。そして会社を経営するようになります。
親としても鼻高々な子どもでしたが、最近どうも様子がおかしいことに気が付きます。何度か「お金を貸してほしい」と言われ工面したのですが、経営する会社が傾いているようでした。
そこで息子に話を聞いてみると、経営状態がかなり悪く、借金も重ねているとのことでした。そして、「もう首が回らない」「このままでは倒産する」と打ち明けられます。Aさんは「親としてできることはないのか」「債務整理などは可能なのか」と考えているそうです。
債務整理することができるのか
実際のところ、親が息子の経営する会社の債務を整理できるのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に聞きました。
森川弁護士:「子どもが成人している場合は、他人と同じ扱いになりますので、勝手に債務整理をすることは出来ません。取締役などでないかぎり、親が介入することはできないということになります」
未成年の場合は?
Aさんのようなケースでは、取締役などの会社に関わった人物でない限り債務整理できないことが分かりました。
また、森川弁護士によると、子どもが成人している場合は、原則的に親が勝手に債務を整理することはできないようです。
それでは未成年の子どもが何らかの理由で借金を背負い溜め込んでしまった場合には、親が債務整理することになるのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に聞きました。
森川弁護士:「知らない間、ということはたとえば、未成年者であることを偽って、という場合等かと想定されます。原則、親の同意がないと契約=借金もできないので。だとすると取り消しは出来ないので債務整理を弁護士に委任する、ということになりますが、その委任契約の為に親の同意が必要ということになります」
子供の借金に親はどう向き合うべきか
子どもは親の言う通りにならないもので、場合によっては親を無視した行動を取ることもあります。それが莫大な借金ということになると、親としても手の施しようがありません。
そうならないために、親はどう向き合っていくべきなのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお聞きします。
森川弁護士:「借金問題は大人でも他人、とりわけ「身内」に相談しにくく、それ自体が事態を悪化させることが多いと思います。言うはやすし、行うは難しですが、風通しよく話を聞ける関係を作れたらいいと思いますが、親自身に対してでなくても相談できる相手を選択出来るような環境に導いてあげられたらいいな、と思います」
まとめ
親ができることには限界があります。借金をする前に本人がしっかりと考え、誰かに相談するなどして、自分の置かれた状況をしっかりと分析する必要がありそうです。