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債務整理の種類を解説|あなたの借金返済に適した方法とは?

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
債務整理の種類を解説|あなたの借金返済に適した方法とは?
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借金は雪だるま式に増えていく利息によって、徐々に返済が難しくなります。

また、借金という問題の性質上、なかなか他人に相談することができず、一人で悩みを抱え込んでしまいがちです。そうした状況を改善し、無理なく借金を返済するための方法のことを『債務整理』といいます。

債務整理処理としては過払い金請求任意整理個人再生自己破産などの方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、収入や借金の返済見込みなどの状況によって最適な方法が異なってきます。

こうしたさまざまな方法を駆使することで、返済が困難となった借金を無理なく返せる状況へと改善し、新たな人生のスタートを切ることが可能となるのです。

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この記事に記載の情報は2023年11月21日時点のものです

①過払い金請求のメリットと特徴

そもそも『過払い金』というのは、利息制限法の上限利率よりも高い利率で借金を返済していた場合に、余分に支払ってしまったお金のことです。本来、利息の上限は利息制限法という法律で定められているのですが、消費者金融やクレジットカードを発行する信販会社はかつて、この法律の上限を超えた利率で利息を取っていました。

どうしてそんなことができたのかというと、利息制限法のグレーゾーン金利にはこれを適法とする例外規定があり、その解釈・適用が緩やかに行われていたからです。しかし、最高裁判例によってこれを厳格に解釈・適用することが明確になり、グレーゾーン金利での貸付は困難となったのです。現在では利息制限法の上限を超える金利での貸付を行う業者はまず存在しません。

メリット

過払い金の返還請求を行うことの最大のメリットは、払い過ぎた利息が戻ってくるという点です。手元に戻ってきたお金を借金返済に充てることもできますし、貯金やショッピングなどで自分のお金として自由に扱うこともできます。

デメリット

過払い金請求によるデメリットは基本的にはありません。

ただし、もし弁護士や司法書士といった専門家に手続きを依頼すると、それに応じた報酬を支払う必要があります。かといって、自力で過払い金請求をしようとすると手間や時間がかかり、十分な金額が返済されない可能性もあります。そのため、一般的には信頼できる専門家に一任するケースがほとんどです。

利用条件

過払い金請求ができるのは、主に2006年までに借金をしていた人となります。なぜなら2006年の最高裁判決以降は多くの金融業者がそれまで行っていたグレーゾーン金利での貸付を見直したからです。

したがって、2006年以降に借金をした人は、基本的には利息制限法内での金利で貸付されているでしょう。しかしながら、一部の悪質な業者はそれでもグレーゾーン金利で法外な利息を取っている可能性があるため、借金の経験がある人は一度調べてみるとよいでしょう。

なお、金利20%以上で返済をしている経験がある人は、過払い金の返還請求ができるかもしれません。ただし、過払い金の返還請求には時効があり、完済から10年以内に行う必要があります。もし過払い金があったとしても、完済から10年が経過していると返還請求できないので注意が必要です。

適した人は?

過払い金請求には大きなデメリットがありません。専門家に返還請求を代行してもらうことで費用が発生する程度です。

もし過払い金があるのなら、返還請求ができなくなる前に行動を起こす必要があります。まずは過去の返済記録を見直すことからはじめてみてはいかがでしょうか。

【関連記事】過払い金請求を弁護士に依頼するメリットは?費用や請求の流れも解説​

②任意整理のメリットと特徴

任意整理とは、裁判所を介さずに直接金融業者と交渉をして、将来利息や遅延損害金の返済を金融業者自身に免除してもらう債務整理の方法です。交渉がうまく進めば、将来利息などを除いた残債務を、分割払いで返済していくことになります。

メリット

任意整理のメリットは、将来利息や遅延損害金の支払いを免除してもらえ、返済する金額がすべて元本返済に充てられるという点です。借金の返済で最も苦しいのは利息の支払いです。どれだけ利息分のお金を支払っても、元本を返済しなければ借金の完済はできません。

任意整理を行えば、支払えば支払うほど借金が減っていくという状況にすることができます。これは任意整理ならではの大きなメリットといえます。

デメリット

一方で任意整理にもデメリットは存在します。

一定期間、信用機関に事故情報が登録されたり、弁護士などへの費用が発生したり、担保や保証人がついている場合には担保実行や保証人への請求が発生する恐れがあります。

利用条件

任意整理はあくまでも、金融業者と債務者の間で行われる任意の交渉となるため、法律で定められた利用条件などは存在しません。ただし、任意というところが問題で、ケースによっては金融業者が交渉のテーブルに着いてくれないことがあります。

そうした意味では、任意整理を持ち掛けて相手が話に乗ってくれるかどうかが、任意整理の利用条件になると思われます。

適した人は?

任意整理の利用に適しているのは、任意整理後にきちんと残債務を返済できる状況にある人です。任意整理では、将来利息や遅延損害金の返済を免除してもらう代わりに、残債務を分割返済することになります。その支払いが厳しいようであれば、任意整理の利用は困難です。

【関連記事】任意整理を有利に進めるために知っておきたい6つの事

③個人再生のメリットと特徴

個人再生とは、裁判所を介することで、すべての債務のうち一部の返済を免除してもらい、残債務を原則3年間で分割弁済する手続きのことです。任意整理と違って、裁判所の手続きになるので、場合によっては弁護士などの専門家のサポートが必要となります。

メリット

個人再生のメリットとしては、住宅ローン以外のすべての債務を圧縮できるという点が挙げられます。住宅ローンを再生手続から除外すれば住宅という資産を手元に残すことができます。

デメリット

個人再生のデメリットとしてまず挙げられるのは、任意整理と同様に信用機関に事故情報が登録されるという点です。また、官報にも情報が記載されてしまいます。

それに加えて、個人再生ではすべての債権者を平等に扱う必要があるため、親戚や友人など特定の債権者だけに借金の返済をすることはできません。それにより、人間関係が悪化するといったことも考えられます。

利用条件

個人再生を利用できるのは、再生計画に沿った債務の返済が可能な人に限られます。債務の返済がそもそも困難な状況では個人再生の意味がありません。よって、きちんとした収入があるかどうかが個人再生のポイントとなります。

なお、債務の総額が5,000万円を超えると、個人再生ではなく、民事再生の手続きを踏むことになるため、注意しましょう。

適した人は?

個人再生の利用に適した人は、主に3つのパターンに区分されます。

1つ目は、住宅を残したいと考える場合です。住宅ローン特別条項付きの個人再生を利用すれば、住宅を清算せず手元に資産として残すことができます。購入したマイホームを残したいのであれば、個人再生の利用がおすすめです。

2つ目は、自己破産をすると職業制限や資格制限を受ける場合です。自己破産の場合、手続き期間中に限って職業制限や資格制限があります。警備員や生命保険募集人といった職に就いている人は仕事に影響が出てしまうため、できれば個人再生の利用を検討しましょう。

3つ目は、自己破産では免責が認められない場合です。自己破産によって借金の支払いを免除してもらう『免責』を受けるケースでは、ギャンブルなどの浪費によって生じた借金については免責不許可事由に該当するため、免責が受けられない恐れがあります。

一方で、個人再生は浪費による借金も債務圧縮の対象になります。免責を受けられない可能性があるなら、自己破産ではなく個人再生を利用する方がよいでしょう。

【関連記事】過払い金請求を司法書士に依頼するデメリットや弁護士との違いを解説

④自己破産のメリットと特徴

自己破産は裁判所を介する手続きで、すべての債務の支払い義務を免除してもらう『免責』を受けることができます。ただし、すべての借金が実質的になくなる一方で、保有しているすべての資産も清算しなければなりません。

メリット

自己破産が裁判所に認められると、免責を受けることになり、借金の返済義務がなくなります。よって、実質的に借金を一切返済する必要がなくなります。ほかの債務整理の方法では、減額された借金を返済していく必要がありますが、自己破産ではそうした必要もありません。

デメリット

債務を返済する必要がなくなる自己破産ですが、一方でデメリットも存在します。

まず、免責が認められると、同時に保有している資産をすべて清算することになります。家や不動産、車といった価値のある資産はすべて清算対象です。

また、破産手続き中は職業制限や資格制限を受けるため、仕事ができなくなる可能性もあります。さらに、信用機関に事故情報が登録されるため、新たなクレジットカードの発行などが一定期間できなくなります。

利用条件

自己破産の利用条件として、ギャンブルなどの浪費による借金が含まれていないかどうかがポイントとなります。自己破産の手続きでは、競馬や競艇をはじめとしたギャンブルなどによる浪費の借金を免責不許可事由として定めており、免責を受けることができない可能性があります。

ただし、裁量免責といって、裁判官の裁量次第では、免責不許可事由にあたる借金でも免責を受けられる可能性もありますので、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

適した人は?

自己破産は、過払い金請求や任意整理、個人再生とった債務整理の方法では借金の返済が困難だという人に適しています。自己破産はすべての債務が免責され、借金の返済をする必要がなくなるという、債務者にとって非常に大きなメリットのある方法です。

しかし、この方法はそれと同時に、資産が清算され、職業や資格も制限されます。そのため、自己破産はほかの債務整理をきちんと検討した上で選択する、最終手段だと考えておきましょう。

【関連記事】自己破産の無料相談先を紹介|よくある相談と弁護士費用まとめ

債務整理方法まとめ

 

過払い金請求

任意整理

個人再生

自己破産

メリット

・払い過ぎた利息が戻ってくる

・将来利息や遅延損害金の支払いを免除してもらえる

・住宅ローン以外の債務を圧縮できる

・住宅を資産として残すことができる

・すべての借金の返済義務がなくなる

デメリット

・弁護士などに支払う報酬が必要

・信用機関に事故情報が登録される

・信用機関に事故情報が登録される

・親戚や友人を優先して借金の返済ができなくなる

・資産をすべて清算する必要がある

・職業制限や資格制限がある

注意事項

 

・交渉に応じてもらえない可能性がある

・安定した収入がなければ利用できない恐れがある

・免責不許可事由がある

・原則7年間は新たに破産手続きを踏むことができない

債務整理にはさまざまな方法があり、最適な方法は状況によって異なります。まずは自分の借金がいくらあり、収入から考えてどの程度返済ができるのかを考えてみましょう。

もし取り立てに悩まされているのであれば、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。受任通知書を債権者(金融業者)に送付し、取り立てをストップさせることができます。

各方法のメリット・デメリットを考慮した上で、自分に合った最善の方法を選択しましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。