弁護士 柴橋 修（山下江法律事務所 広島本部）

債務整理の3つの種類と弁護士依頼の重要性

借金を多く抱えてしまい、毎月の返済が苦しくなってしまうことがあります。

そういった場合、生活を立て直すため、債務整理によって借金を減額または免除してもらう方法があります。

これが債務整理であり、主に3つの方法から適切なものを選んで手続を進めることになります。

具体的には、任意整理・自己破産・個人再生の3種類となり、それぞれ異なる手続を行います。

ただし、借金額や毎月の返済額、経済状況など、個人の金銭的事情や借金の背景によって、選べる方法は変わってくるのです。

いずれの方法も、自己流では正しい手続きが難しいですから、ぜひ、弁護士に依頼して適切な手続きを進めましょう。

任意整理

お金を借りた金融機関と個別に交渉し、毎月の返済額を減らす方法です。

金利をカットしてもらったり月ごとの返済金額を減らしてもらったりして、3～4年で完済することを目指します。

昔は、利息制限法で定められている金利を超えて貸し付けている金融機関も多く、任意整理をする際に利息制限法に照らして計算をし直すと、債務の総額が減少したり、場合によっては過払い金が生じることもありました。

しかし、最近は違法な金利で貸し付けることは少なく、任意整理をしても、債務の総額は減少しないことが通常です。

そうすると、債務の総額が大きい場合は、任意整理によって解決することは難しくなります。

任意整理によって解決できるかの判断については、弁護士に相談することをおすすめします。

自己破産

自己破産は、裁判所に申し立てを行い、裁判所が認めることにより全ての債務を免除してもらえる手続になります。

債務の総額が大きく、任意整理では支払いを続けていくことが困難な場合に検討することになります。

破産手続をとった場合、すべての債務について支払う義務を免れることになるため、債権者に非常に大きなダメージを与えることになります。

そのため、債権者のために、生活に必要な範囲を超える財産については、すべて換金したうえで、債権額に応じて債権者に配当する必要があります。

このように、換金すべき財産がある場合は、裁判所から破産管財人が選任され、この破産管財人が財産の換金や債権者への配当という手続を行うことになります。

また、借金の原因が浪費やギャンブルなど、事情がよくない場合には注意が必要です。

このような場合は免責不許可事由にあたり、免責（債務の支払いから免れること）されない恐れがあります。

しかし、免責不許可事由があっても、本人がしっかり反省していて、また、諸事情から今後は借金をしないで立ち直ることがうかがえる場合などは裁量によって免責が認められることも多いのです。

したがって、免責不許可事由があっても、破産手続が利用できないということはありません。

個人再生

自己破産と任意整理の中間的な制度として、個人再生という手続があります。

裁判所への申し立てが必要な点では自己破産と同様です。しかし、債務の支払いから免れるわけではありません。

事案によって異なりますが、債務が5分の1程度に圧縮されるものの、債務を原則3年で支払っていく必要があります。

また、自己破産と異なり、免責不許可事由のような許可されない場合は挙げられていません。

ただ、ギャンブルなど事情が悪い場合でも自己破産手続が利用できないわけではないことは先ほど述べたとおりです。

個人再生の一番のメリットは、住宅ローン特則を利用できることだといえます。

これは、住宅ローンの支払いを続けながら、他の債務については、圧縮された債務を支払えば足りるというものです。

自己破産手続を利用すれば、住宅は失ってしまいますが、この住宅ローン特則を利用すれば、住宅を残すことができます。

しかし、住宅ローンを支払いながら、他の債務も支払っていくことは大変なことで、生活の立て直しのことを考えると破産手続を利用したほうがいいこともあります。

適切な選択肢の相談は弁護士まで

このように、債務の整理の方法にはいくつかありますが、どの方法を選択するのが適当かについては、知識がなければ判断が難しいといえます。

したがって、できるだけ早く弁護士に相談することが大事です。