弁護士 山口 卓（山下江法律事務所 広島本部）

債務整理のメリットとデメリット

債務整理とは、借金を減らしたり免除してもらったり、支払の猶予を受けた入りして債務を整理する手続全般のことをいいます。

大きく分けて、任意整理・自己破産手続・個人再生手続・特定調停の４種類があり、返済能力を超えた借金を適切な形で処理することができます。

４つの債務整理の方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。自分が選ぶべき方法はどれなのか、特徴を理解した上で手続を進めるといいでしょう。

ここでは、主に利用されている任意整理・破産手続・個人再生手続について説明をします。

任意整理のメリットとデメリット

任意整理とは、弁護士が貸金業者等と交渉し、毎月の返済金額を合意し直したり将来発生する利息をカットしてもらったりする手続です。

任意整理を行うことによるメリットとデメリットには、以下のものが挙げられます。

メリット

• ３年から５年の長期返済を可能にする
• 月々の返済額が減ることがある
• 将来利息をカットしてもらえることがある

デメリット

• 元金は基本的に減額されない
• 取引期間が短すぎると合意してもらえないことがある
• 信用情報機関に事故情報として登録される（他の手続も同様）

毎月の返済金額が減ると、経済的な負担だけでなく精神的な負担も軽減されます。

任意整理後は無理のない金額を返済していけばいいので、健全な生活を取り戻すことができるでしょう。

自己破産のメリットとデメリット

借金が多額になると、任意整理をしても返済が難しいことがあります。

そのときは、裁判所に自己破産手続を申し立て、免責許可決定により借金を免除してもらうことができます。

メリット

• 借金の返済が免除される
• 99万円以下の現金等一定の資産を手元に残せる

デメリット

• ９9万円を超える現金等の資産を手放さないといけないことがある
• ローン支払い中の所有物（住宅，車など）は手放す必要がある
• 破産手続中は特定の資格が制限される
• 免責不許可事由に該当すると免責許可決定がされないおそれがある
• 官報に掲載される

自己破産はすべての借金を免除してもらう手続ですので、心が軽くなる反面、罪悪感を抱く方もいらっしゃいます。

しかし、借金で生活が成り立たなくなり精神的にも辛くなった現状を健全な状態に戻すための手段ですので、前を向いて経済生活の改善を心がけることが大切です。

個人再生のメリットとデメリット

過去に自己破産手続をしたことがある場合、浪費等の免責不許可事由があり免責許可決定がなされないおそれがある場合、住宅ローン支払い中の住宅を残したい場合等には個人再生手続が適切です。

借金額を大幅に圧縮できる点が特徴です。

メリット

• 債務額が5分の1に圧縮される（債務総額が５００万円以上１５００万円未満）
• 住宅資金特別条項の利用により住宅ローン支払い中の自宅を維持できる
• 免責不許可事由がある場合でも手続が利用できる

デメリット

• 圧縮した債務を３年から５年で返済する必要がある
• ローン支払い中の所有物（車など）は手放す必要がある
• 官報に掲載される

圧縮した債務の返済計画を裁判所に提出して認めてもらう必要があるため、破産手続に比べると少し煩雑で時間がかかります。

ただ，住宅ローン支払い中の自宅がある場合、破産手続のときは自宅を手放す必要がありますが、個人再生手続のときは自宅を手放さずに経済生活の立て直しを図ることができます。

債務整理の手続は弁護士まで

3つの手続きはいずれも、弁護士に相談・依頼することで解決がスムーズになります。まずは弁護士に相談してみましょう。