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ギャンブル依存症の実態と克服方法|借金返済方法も解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
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ギャンブル依存症とは、パチンコや賭博に対する依存症のことで、ギャンブルを渇望する衝動を制御することができない精神疾患の1種といわれており、ギャンブルが原因で借金を繰り返すなど、身体的・心理的・社会的にも害を及ぼすなどの問題が挙げられています。

厚生労働省の資料によると、「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合は、成人の0.8%と推計されています。

平成30年の20歳以上の人口は約9,900万人なので、約79万人もの人がギャンブル依存症の可能性があることになります。

ギャンブル依存症について、単純嗜癖型」「精神障害先行型」「パーソナリティなどの問題型」の主に3つのタイプに分けた対応が提案されています。

いずれにしても、治療は可能であるが長い年数が必要とされている点では同じだといえます。

今回はこういったギャンブル依存症を克服し、借金に頼らないための方法をご紹介していこうと思います。

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ギャンブル依存症の基本知識

パチンコ、スロット、麻雀、カジノゲーム、バカラ、ブラックジャック、競馬、競艇、サッカー賭博など、ギャンブルの種類をあげればキリがありませんが、どうしてギャンブル依存症の人たちはギャンブルにのめり込んでいくのでしょうか?

負ければ借金までして負け分を取り戻そうとし、買ってもさらにギャンブルにのめり込んでいきます。

この章では、ギャンブル依存症の基礎となる内容を読み解いて頂ければと思います。

ギャンブル依存症は病気である

まず、ギャンブル依存症について理解するためには、ギャンブル依存症は病気であることをスタート地点に進めていかなければなりません。

ギャンブル依存症の方の多くが、好きでギャンブルを行っているよりも、辞めたいのに辞められない方が大半です。

依存症の度合にもよりますが、自分の意思で依存症から抜け出せないのであれば、アルコール依存症と同じく治療が必要になります。

しかしながら、ギャンブル依存症を自ら認識することはなかなか難しいでしょう。

ギャンブル依存症の人の性格的特徴

ギャンブルを始める前までは、どうしてそんなものにハマるのかわからない、などと思っている人は多いと思います。

ところが、実際にギャンブル依存症で治療を受けている人たちを統計的にみると、始めはギャンブルになど全く興味がないというケースが多いのです。

つまり、ギャンブルにはまり、依存症にまで陥ってしまう人とは、意外なことに次のような方が該当しています。

  • 真面目な方
  • ストレスを抱えやすい方
  • 警戒心が強い方
  • おとなしい方
  • 努力家
  • ケチな方
  • 理論的な方
  • 相談する人が少ない方
  • 趣味が少ない方
  • プライドが高い方

こうした性格の人ほど、ギャンブル依存症に陥りやすい傾向があると分析されています。

意外にも、特別な性格の人ではなく、誰にでもあてはまりそうな普通の方ばかりなのです。

では、なぜこのような人がギャンブルにはまってしまうのでしょうか?

ギャンブル依存症を量産する仕組み

その理由には、人間の心理的な面を逆手にとってギャンブルを提供する側が儲けるシステムに起因していると言えます。

1:瞬間的に儲かるから

ギャンブルへ依存させる要素の一つは、瞬間的に儲けさせるシステムです。

先ほどの心理的作用でも説明しましたが、人間は絶対に報酬が得られると分かっていることよりも、確約はないけど一度、経験した成功体験に流される傾向にあります。

また、パチンコやスロットなど、「いつ」、「どこでも」、「手軽に」、「考えなし」にできるギャンブルであるため、年代や性別から利用者を選びません。

こういった間口の広さや、利便性の高さ、瞬間的に10万〜20万円の金が手に入ることから、多くの方がパチンコやスロットを介してギャンブル依存症になります。

2:金を簡単に消費する魔力

営業の世界での話ですが、一度お金を払った相手なら、2度目はすぐに財布の紐が緩くなるという現象があります。

つまり、最初に1,000円でも使わせたら、あとはいくらでもつぎ込むようになるということです。

パチンコを例に出せば、1,000円で大当たりする確率は非常に低く、満足に遊ぶこともできません。

しかし、誰でも最初は少額でやろうとは思うものの、1,000円という少額を一度つぎ込めば、あとは2,000円、3,000円と次々に消費していくことに何のためらいもなくなっていく訳です。

3:負けを取り戻したい

冒頭でも言いましたが、一度「勝ち」を経験し、それなりの金額を得てしまうと、負けた分はまたすぐ取り戻せると思っていくようになります。

50,000円の勝ち越しはパチンコなどではよくあることですが、遊んでいるうちに50,000円がなくなっていくこともよくあります。

勝っているうちにやめておけば良いのに、「今日はツいてるからこの前の負け分も取り戻そう」としてしまうと、結果財布が空になるということは往々にして起こる現象です。

ギャンブル依存症の末路

ギャンブル依存症を放置するとどんな末路が待っているのかを知ることで、自分はそうはならないような対策をして頂ければ幸いです。

借金地獄に落ちる

ギャンブル依存症で最も多いのが「多額の借金」を背負うことです。

銀行系カードローン、信販会社からの借り入れ、サラ金、知人・友人に借金、闇金へと借金の額が増えていくことになります。

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借金をギャンブルで返そうとする

ギャンブルで作った借金をさらにギャンブルで返そうとすることで、ギャンブル依存に陥ることがあります。

それでマイナスを取り返せるという保証は全くなく、結果的に借金額がさらに大きくなります。

家族・友人関係の崩壊

ギャンブルによって金融機関から借金を返せなくなってしまうと、家族や友人を頼るしかなくなります。

身近な人ほど、「ギャンブルによる借金だ」と、察しがつき、結果的に信頼を失ってしまいます。

仕事にも悪影響が出る

借金をしている状況は、精神衛生上よくなく、仕事にも悪影響が出ます。

さらに、ギャンブル依存症の人は、借金を減らすためにギャンブルで取り返すことばかり考えてしまい、結果的に仕事も手が付かなくなります。

身体への悪影響が大きい

このように、借金、人間関係、仕事に悪影響を及ぼすことは、精神的にもよくなく、結果的にご自身の身体を悪くする要因にもなります。

こういった悪循環に陥ってしまうと、ご自身だけの力で抜け出すことは難しいでしょう。

ギャンブル依存症を克服する効果的な7つの対策

ギャンブル依存症を克服するために必要な治療法をご紹介します。

なるべく習慣付けしやすくて実践的、かつ簡単な治療法をご紹介します。

1:財布にお金を入れない

基本的に財布に1,000円以上入れないようにしてみましょう。

ギャンブルの基本は現金ですので、パチンコに行っても入れる札がなければ使うこともありません。

ギャンブラー気質の方は物欲が少ないことが多いため、驚くほどお金を使わなくなり、月末の残高をみてびっくりするはずです。

2:お金を物に変える

もしパチンコなどをやりたいと思ったらショッピングをしましょう。

買うものはなんでもいいのですが、できれば本を買うことをおすすめします。

まとまったお金を使ったあとなので、ギャンブルをするのが怖くなり、「これ以上はお金を失えない・・・」という気持ちがギャンブルから遠ざけてくれるでしょう。

ギャンブルでお金をみすみす捨てるのではなく、自己投資としてお金を使いましょう。

3:ギャンブル依存症である事を認める

そんなことで克服できるのかと思われるかもしれませんが、まず改めて認めることは大事です。

そして、ギャンブル依存症について学ぶ事も有効な手段です。

医学的な知見からギャンブル依存症について学ぶ事で、「決して自分が弱い人間だからギャンブルにハマっている訳ではない」ということがわかり、気持ちもだいぶ楽になれるでしょう。

4:家族・恋人にギャンブルを辞める事を宣言する

あなたがギャンブルでかなりの金額を使っている事を知っている人に、「ギャンブルを辞める」と宣言しましょう。

家族や恋人がギャンブル依存症で喜ぶ人などいるはずがありません。

もし、ギャンブルをやめると宣言したのにもかかわらず、またギャンブルをしてしまった時のパートナーの気持ちを考えてみてください。

最悪関係を切られる危険だってあります。

一度やめると宣言した以上、その約束を守り続けようという意志が出てくるはずです。

5:ギャンブルに代わる趣味を見つける

ある意味最も効率的なギャンブル依存症の克服方法と言えます。

人は何かを我慢したり、したいのにできない状況が一番辛いと言いますので、ギャンブル以外に熱中できるものはないか考えてみましょう。

ギャンブルなんてやっている場合じゃないという状態になれば、これまでとは全く違った自分になれる可能性が大いにあるでしょう。

ギャンブルのゲームを趣味にする

また、趣味が見つからない、趣味があるけどギャンブルへの欲求が抑えられない場合はギャンブルのゲームを購入することをおすすめします。

携帯のアプリなどで、パチンコ・スロットのゲームもあるのでギャンブル依存症の方にとって気を紛らわすのに最適です。

6:これまでギャンブルで失ったものを書き出す

ギャンブル依存症であることをより深く自覚するためにも、ギャンブルによって失ったものを書き留めるのは効果的です。

  • お金
  • 時間
  • 友人
  • 家族
  • 余裕のある生活

書き出すことで失った物をはっきりさせましょう。

もしまだはっきりさせる事が出来ないのであれば、これから失う何百万円、何千万円の事を思い起こすのもよいでしょう。

この失った物や価値観こそが、あなたをギャンブル依存症から救う「治療薬の元」となります。

7:ギャンブルの収支表を付ける

失ったものを書きだすのと同時に、ギャンブルの収支表を付けるようにしてください。

ギャンブル依存症の方がいきなりギャンブルを止めることはほぼ不可能です。

そのため、いくら勝っていくら負けたのかギャンブルをする度に収支を付けることで、ギャンブルが儲からない事実を数字化しましょう。

人間、数字で現実を突きつけられると案外、気持ちが冷めていくものです。

ギャンブル依存症の治療法や相談先

以上がギャンブル依存症の克服方法ですが、お伝えした通りギャンブル依存症は病気です。

どうしても自分や周りの協力だけでは克服できなさそうな場合、ギャンブル依存症治療の専門機関で治療や相談を受けて下さい。

無料で相談できる公共機関を利用する

まずは無料で利用できる相談先として、厚生労働省が指定している「精神保健福祉センター」、「保健所」などを利用することをオススメします。

ギャンブル依存症は、私生活に問題を抱えている方が多く、日頃、感じているストレスや不安への対処法について相談することが可能です。

相談はメール・電話、対面にて受付をしていますので詳しくは、お近くの窓口にて問い合わせください。

自助グループの利用

相談先としてギャンブル依存症の方が、依存症を治療するための自助グループ「ギャンブラーズ・アノニマス」を利用するのもおすすめします。

ギャンブラーズ・アノニマスとは同じギャンブル依存症の方達が、依存症を克服するために互いに協力し合い励まし合うグループです。

グループを通して同じ境遇の人達と知り合える上に、全国各地でイベントが開催されているため近場のイベントに参加することができます。

専門家のカウンセリングを受ける

専門家のカウンセリングを受けると、ある程度の費用はかかりますが、その分、治療に対する効果は期待できます。

中でも重度の精神疾患を患っている人はそれ相当の治療を受けなければ、ギャンブル依存症から克服することはできません。

カウンセリングの効果

カウンセリングを受けるメリットは、自分の内面を気兼ねなくさらけ出すことができることです。

対人関係において自分の本心や感情を体現できる機会はそんなに多くはありませんが、カウンセリングにおいて利用者の発言は他言されることもなければ否定されることもありません。

やり場のないストレスから解放される意味でカウンセリングは効果的です。

治療の内容

また、具体的な治療方法としては「自尊心の育成」、「リラックス方法の学習」、「人間関係の改善」、「再発防止のトレーニング」がおこなわれます。

精神疾患を抱えている人の多くが、自分に対し否定的な考えを持ちがちであり、常に周りの顔色を癖が抜けません。

そのため良好な人間関係が築けず、鬱憤の捌け口としてギャンブルへ依存してしまいます。

ギャンブル依存症を克服するためには、まずは自身の自尊心を育むことが必要であり、同時にストレスのない対人関係を築くために、リラックスの仕方やストレスを感じない人との関わり方を覚えることが必要なのです。

そして再びギャンブル依存症にならないための再発防止の訓練が治療に含まれているのですが、治療内容に関して詳しくは利用する医療機関へ問い合わせてみてください。

家族がギャンブル依存症になった時の対処法

もし家族がギャンブル依存症になってしまった場合、貧乏くじを引いたと思うのが正直なところでしょう。

特に真面目に仕事をしている人ほど、ギャンブル依存症になった家族に対してしっかりしてくれと思うのも仕方がないことです。

長い目で見守る覚悟を持つ

しかしながら、正論を言ったところでギャンブル依存症は治りません。

再三申し上げますが、ギャンブル依存症は精神的な病気であるため、まずは当人にとってご家族の理解が何より必要です。

ギャンブル依存症を克服するまでには長い道のりがかかりますが、本当にギャンブル依存症を克服して欲しい気持ちがあるのであれば、当人の気持ちに歩み寄ってあげてください。

家族間の会話の機会を作る

そして歩み寄るためには、まずは会話する時間を設ける必要があります。

口数が減るほどに互いの心に溝が生まれるものですが、次第に本心を打ち明けづらく一方です。

いきなり、ギャンブルに関する話題をするのではなく、まずは些細なことからきっかけに会話する機会を徐々に増やしていきましょう。

絶対にお金は貸さない

ギャンブル依存症の家族に対しては絶対にお金を貸してはいけません。

お金を貸すことで、また次も借りればいいという発想になり、ギャンブル依存症からかえって抜け出せなくなります。

また、家族自身もお金を貸してあげることで、援助している行為自体に家族が依存してしまいます(共依存)。

これは互いの依存症をより深刻化させかねないため、お金の貸し借りに関しては甘やかさず冷たくつけ放しましょう。

お金の管理を共同でおこなう

できることなら、お金の管理は家族共同でおこなえるといよいでしょう。

さすがに自身のお金の出先が家族に把握されていることがわかれば、自身もギャンブルに行くことに対して躊躇するからです。

また親戚含め家族全体が当人のギャンブル依存症の事実を知っていると、半強制的にギャンブルがやりづらくなります。

ギャンブル依存で作った借金を返済する方法

ギャンブル依存症で最も大きなトラブルは借金問題です。

ギャンブル依存症と借金の関わり

恐ろしい話ですが、ギャンブル依存症の方にとって借金はギャンブルをする理由になりえます。

借金ができたからギャンブルを辞めるべきと考えるのはギャンブル依存症でない方の思考です。

ギャンブル依存症の方は、借金を返済するために、ギャンブルで一山当てなければならないという考えに行きつくためにかえってギャンブルから足を洗えません。

そのため、ギャンブルで借金を作った人は上記で紹介したギャンブル依存症を克服するための治療法と、以下で紹介する借金の返済方法を並行して行う必要があります。

借金返済の道のりを立てる

まず、借金を返済するためには現在の借金の状況(借金の総額と月々の利息)、収入、月々の生活費を確認しましょう。

その内、月々の収入から生活費を差し引いた額が返済金額になります。

生活費が割高だと感じる方は、家計簿を作成することで無駄な生活費を洗い出したうえ、返済に回せる金額を増やしてください。

そのうえで、返済期間と返済金額が記入された返済計画書を自身で作成すると借金返済を目指すうえで効果的です。

また、借金の返済方法に関しては、詳しくは以下の記事を参考にしていただけたらと思います。

債務整理で借金を整理する

自身の収入からは借金の返済の目途が立たない、利息の返済で手一杯の方は債務整理で借金を整理しましょう。

債務整理には、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つがありますが、それぞれの特徴を説明していきます。

任意整理

裁判所を通さずに、債務者(借金をしている人)と債権者(お金を貸した人)が法律に基づいて話し合いをして、和解を進めていく方法です。

この任意整理を弁護士に依頼することで、本人の代わりに交渉、借金の減額手続きを全ておこなってもらえます。

個人再生

借金に悩まされている人などの再生を図るという観点から、個人再生と呼ばれています。

また、個人再生の手続きは借金を減らすだけでなく、住宅を守ることができるという特徴があります。

自己破産

借金をゼロにしてもらう制度であり、借金返済がどうしても困難なときに利用する最終手段です。

ただし、住宅や車などの高額な財産も手放さなくてはならなくなります。

なお、借金の原因がすべてギャンブルの場合、免責不認可となる可能性があります。

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さいごに|ギャンブル依存症の再発を防ぐために大切なこと

ギャンブル依存症は再発率が高いと言われている依存症で、簡単に完治しないのが特徴と言えますが、長期的に諦めず意識して続けていくことが大事です。

新たな趣味を探す事がそれまで費やしてきた時間も無駄にせず、無駄に使っていたお金も精神的な安定のために使うことができます。

それでもいきなりパチンコなどのギャンブルを辞めることは難しいと思いますので、周囲の人の助けを借りながら、徐々にレートを下げて楽しむ事から始めてみてはいかがでしょうか?

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。