特定調停の手続きの方法と借金を減額させるために必要な知識

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2017.10.12

特定調停の手続きの方法と借金を減額させるために必要な知識

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特定調停(とくていちょうてい)とは、自己破産や個人民事再生と同様に、借金返済に困った人が利用することができる債務整理の方法の1つです。
支払い不能に陥るおそれのある債務者(借金をしている人)を経済的に立ち直らせることを目的に、民事調停法の特例として定められた制度になります。

 

特定調停は、専門家に頼ることなく個人でも比較的簡単に手続きができますが、その反面、事前に利用する際のデメリットについてもきちんと検討しておくべきでしょう。

今回の記事では、特定調停に関する基礎知識と、特定調停を利用する際のメリット・デメリットについてまとめてみました。

 

 【目次】
特定調停の基礎知識
特定調停が利用できる人
特定調停が借金へ与える効果
任意整理との違い
特定調停のメリットとデメリット
メリット
デメリット
特定調停の手続きの流れ
1.申立ての方法・添付書類
2.かかる費用
3.裁判所での手続き内容
4.申立て後にやるべきこと
特定調停を成功させたい人が取るべき行動
1.特定調停の話し合いの肝を知る
2.調停成立のためのコツを知る
3.法テラスを利用して任意整理を行う
特定調停をすべき人の特徴と他の債務整理との比較
特定調停をすべき人の特徴
他の債務整理との比較
個人再生
自己破産
まとめ

 

特定調停の基礎知識

特定調停は、民事調停法の特例で定められている制度です。当事者の話し合いで問題解決を目指すという点で任意整理と似ていますが、裁判所の関与を受ける法的手続きであることから、利用するためには一定の条件や手続きが必要となります。
ここでは、特定調停の対象者、特定調停が借金へ与える効果、特定調停と任意整理の違いについて説明していきます。
 

特定調停が利用できる人

特定調停法(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律)2条によれば、特定調停を利用することができる債務者とは以下の通りに定められています。

 

第二条  この法律において「特定債務者」とは、金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう。

引用:特定調停法2条

 
簡単に言えば、現状のままだと借金を返済するだけの財産がなくなってしまう債務者が利用できるということになります。したがって、利用するためには

  • 現状のままではいずれ借金を返済していくだけの財産がなくなってしまうこと

に加えて、

  • 減額後の借金が3年~5年で返済できる金額であること
  • 継続して収入を得る見込みがあること

が必要となります。

 

特定調停が借金へ与える効果

では、特定調停を利用することで、借金返済への負担がどのように減るのでしょうか。

 

過払い利息が元本から減額される

特定調停では、元本から、払い過ぎた利息分の減額が期待できます。

払い過ぎた利息は、実際に支払った利息と、法定金利で計算しなおした利息の差額分から算出しますが、計算は専門性を要するため専門家へ依頼するのが一般的です。

 

参考:「過払い金計算方法|過払額がすぐに分かる引き直し計算の手順

 

将来利息のカット

また、特定調停では、返済の負担を減らすために、これから返済に伴い発生する利息と、遅延損害金が免除されることが期待できます。

返済額のほとんどが利息に充てられている債務者は、利息が免除されることで、返済の負担が大きく減ります。

 

任意整理との違い

任意整理とは、弁護士など法律の専門家が債務者の代理人となって、債権者と手続外で交渉することで、返済方法の負担を減らすための手続きです。

任意整理と特定調停は、借金へ与える効果が近いことから似た債務整理だと言われていますが、その他にも以下の類似点があります。

 

<任意整理と特定調停の類似点>

  • 話し合いにより解決を目指す
  • 債権者を選ぶことができる

 

反対に双方には、どのような違いがあるのかを確認していきましょう。
 

取り立てが止まる時期

双方の大きな違いの一つは、取り立てるが止まる時期です。まず、任意整理は、弁護士に依頼すると、すぐに取り立てが止まります。

反対に特定調停では、取り立てがストップするのは裁判所への申立の手続きが完了してからです。

申立は、裁判所への提出書類など何かと時間がかかるので、任意整理と比べて特定調停は取り立てが止まるまでに時間を要します。

 

債務名義の有無

特定調停は、債権者との話し合いがまとまると調停調書が発行されます。

この調停調書は、債権者が執行機関を介して債務者の財産を差し押さえすることができる文書(債務名義)であり、債務者が調書の通りに返済をしなかった場合、債権者は差し押さえを申し立てるでしょう。

 

参考:「債務名義とは|業者が財産差し押さえもできる債務名義の知識

 

その反面、任意整理では、交渉が成立すると和解書が作成されますが、和解書には差し押さえを申し立てるための効力はありません。

以下、特定調停と、任意整理との違いをまとめたものになります。

 

 

特定調停

任意整理

手続き方法

裁判所に申し立てる

裁判所を通さず、相手方との任意の話し合いを行う

手続き難易度

申立書類の記入さえできれば以後は直接交渉をしなくて済むので、素人でも充分可能

相手方との直接交渉が基本のため、専門家を頼る方が実効性も高く無難

利用条件

返済を続けていくことが前提のため、基本的には継続して一定の収入のある人

特になし

減額の効果

法定利息で引き直し計算による減額

過払い金の返還

別途で手続きが必要

可能

利息の免除

将来利息が免除される可能性もある

原則、将来利息が免除

遅延損害金の免除

調停成立までの遅延損害金が免除される可能性がある

和解成立までの遅延損害金の免除

和解・調停成立

債権者に依存するところが大きい

ほとんどの場合で成立

返済方法

3年~5年の分割払いが基本

相手方の選択

借金の中で手続きするものを自由に選ぶことができる

信用情報機関の登録

あり・一度も延滞をしなければ手続き終了から5年程度・延滞をすると完済から5年程度

借金の使途

問われない

保証人への影響

あり

周囲への影響

裁判所から書類等が届くので、家族に知られる可能性あり

専門家に依頼すれば周囲に知られる可能性はほぼなし

資格制限・官報記載

なし

財産に及ぼす影響

なし

 

特定調停のメリットとデメリット

では、特定調停を利用する上でのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

メリット

①債権者からの取り立てが止まる

特定調停申立後の取り立ては法律で禁止されているので、特定調停を申し立てると債権者(相手方貸金業者)からの取り立てがストップします。

 

②費用が安い・個人での手続きが比較的簡単である

特定調停は、圧倒的に安い費用で申立をすることができます。各簡易裁判所によって若干の差はあるものの、東京簡易裁判所では、申立費用が、相手方1人(1社)につき、以下の料金だけで済みます。

 

  • 500円分の収入印紙
  • 420円分(82円切手×5枚、10円切手×1枚)の郵便切手

 

専門家に依頼するだけのお金がなくても、1社あたり1,000円掛からない金額で手続きをすることができます。
 
また、裁判所が関与する他の債務整理の方法(個人再生や自己破産など)と比べて、手続き自体はそれほど難しくありません。

法律の基礎知識がなくとも、裁判所の用意している書類の記入がきちんとできていれば申立てをすることができます。

また、基本的に相手方と直接交渉をしなくて済むので(後述)、専門家に依頼せずに手続きを済ませることが可能です。

 

③手続きに時間を要さない

他の債務整理と比べ、手続きが容易的な上に、手続きが完了するまでに時間を要しません。申立後から解決までにかかる期間は大体1ヶ月ぐらいです。

 

④調停委員が間に入るため相手方と直接交渉しなくて済む

特定調停では、基本的に調停委員という第三者が間に入って交渉を進めていくことになります。申立人は和解の時まで相手方の貸金業者と顔を合わせることはないので、安心して交渉を進めることができます。

 

⑤一部の業者のみを相手に申立てをすることができる

債権者の中には、関係をこじらせたくない人もいるでしょう。

そのため、債務整理の対象から外したい債権者も中にはいるかもしれませんが、特定調停では、債権者(お金を貸しいている側)を自由に選ぶことができます。 

また、特定調停は、複数の債権者を相手に申し立てをする場合でも、一つの簡易裁判所で手続きを済ませることが可能です。

しかし、債権者の中には、他の債権者と管轄の裁判所が違う場合もあるでしょう。この場合も、一つの裁判所で手続きを済ませることができると言われていますが、詳しくは申立先の裁判所へ問い合わせてください。

 

⑥調停が終了するまでの間、給与差押えなどの強制執行を止めることができる

特定調停には執行停止の制度があるので、申立ての際に、「執行停止の申立て」を提出すれば、給与差押えなどの強制執行を止めることができます。

単に特定調停の申立てをするだけでは強制執行は止まりませんので、給与などを差し押さえられている場合は執行停止も申し立てましょう。 

 

⑦ギャンブルなどの浪費が原因であっても利用することができる

自己破産では、申立時に借金を作った原因を問われますが、ギャンブルや風俗などが借金の原因(免責不許可事由)の場合、手続きが適用されないかもしれません。

特定調停では、借金ができた原因に関係なく申し立てることができます。

 

⑧破産のような資格制限は一切受けない

特定調停を利用することによって、資格制限されるようなことはありません。また、官報に掲載されることもありません。
 

デメリット

①任意整理と比べると手続きが複雑

特定調停を選択される方の多くが、「過払い金発生による借金の減額」、「将来利息のカット」など任意整理と同じ効果を期待されると思います。


任意整理と違い、専門家の費用がかからないため、手続きが低額で済む点が特定調停のメリットでしたが、その分、裁判所への手続きを全て自分でまかなわなければなりません。

任意整理では、

そのため手続きを全て専門家へ任せることができる任意整理と比べて、特定調停の手続きは面倒です。

手続きの方法については詳しくは「特定調停の手続きの流れ」にて紹介します。 

 

②取立行為が止まるまでに時間がかかる

特定調停では、申立が受理されると、債権者は債務者への取り立てを止めなければなりません。

しかしながら、各種書類の準備など申立には時間を要するため、実際に取立が止まるまでには時間がかかります。

専門家に債務整理を依頼した場合、専門家が案件を受任した段階で取り立てが止まるため、今すぐ取り立てを止めたい人に特定調停は向いていないかもしれません。

 

③いわゆるブラックリストに載ってしまう

特定調停を行うと、個人信用情報機関に事故情報として登録されてしまう(いわゆるブラックリスト入り)ので、一定期間ローン利用やクレジットカードの新規発行ができなくなります。

ただし、5年~7経過すれば情報は削除されるので、その後はローン利用やクレジットカードの新規発行もできる場合がほとんどです。
※特定調停の相手方となった業者からは以後取引を断られるケースは多くあります。

 

また、債務整理をする方の中には、官報へ掲載されることを懸念される方も多いと思いますが、特定調停をすることで官報に掲載されることはありません。

 

参考:「ブラックリストに載る理由と消し方|ブラックリストの全知識

 

④保証人も債務整理をするリスクがある

債権者(借金をしている業者)は、債務者本人と連帯保証人のどちらに対してもいつでも返済を請求することができます。

もし保証人が返済できない場合、保証人も特定調停などの債務整理をせざるをえません。
これを避けたいと思ったら保証人のついている借金を除いて特定調停をするべきでしょう。

 

⑤調停不成立の場合もある

特定調停は、あくまで話し合いによる借金の解決方法なので、相手方が返済計画案を承諾しなければ「不調(=調停不成立)」で終わります。すべての債権者が合意しなければ効果が上がらない可能性があります。また、3年~5年以内の返済計画案でなければそもそも認められません。 

 

⑥支払いが滞ると強制執行にかけられる可能性大

特定調停で話し合いがまとまると、調停調書が作成されます。この調停調書には、一般の判決と同じ効力があるので、支払いが滞った場合はすぐに強制執行が可能となってしまいます。

 

⑦過払い金の請求は別途

債務者によっては、過払い金(払い過ぎた利息)の額が借金の残高を上回ることもあるでしょう。

この場合、過払い金は現金で債務者の手元に戻ってくることになりますが、特定調停では余剰分の過払い金の請求まではしません。

特定調停の目的が借金を返済しやすくすることだからです。過払い金の請求がしたい場合は別途で過払い請求を行う必要があります。

 

⑧家族に知られる可能性がある

特定調停を申し立てても裁判所から家族へ直接、連絡をすることはありません。しかし、あくまで裁判所を通して行う手続きなので、裁判所から本人宛に書類や通知が届きます。

したがって、同居の家族に特定調停を申し立てたことを知られてしまう危険性は充分にあります。
 
また、裁判所での手続きになるので、平日の決められた日時に裁判所に何回か足を運ぶ必要もあります。

 

⑨必ずしも調停委員が債務整理の専門家ではない

調停委員は、必ず債務整理の専門家であるとはいえません。

そのため、特定調停を行った結果、払い過ぎた利息分が元本から減額されない、将来利息が免除されないなど、申立人にとって不利な調停内容になる場合もあります。

 

特定調停の手続きの流れ

特定調停を利用するためには、裁判所に書類を提出して申立てをしなければなりません。ここでは、申立てに必要な書類や費用、裁判所での実際の手続きの流れについて整理しましょう。
 

1.申立ての方法・添付書類

特定調停は、各簡易裁判所によって必要な書類が若干、異なる場合があります。基本的には下記のものを準備することになりますが、詳細については申立先の簡易裁判所に事前に問い合わせると良いでしょう。
 

特定調停申立書・財産状況等明細書・権利関係者一覧表

裁判所のホームページでダウンロードできます。(裁判所の窓口に用意している場合もあります。)
ダウンロード
 
特定調停申立書の記入方法は下記の通りです。相手方が複数ある場合には相手方ごとに作成し、それぞれ正本・副本の合計2部ずつがセットで必要となります。ペン又はボールペン(鉛筆不可)で記入します。パソコン等で作成したものでもOKな裁判所もあります。

 

■申立人



「申立人」欄には、あなたの住所・氏名・電話番号(携帯電話番号があればそちら)を記入し、氏名右横に認印を押します。借りたときの住所・氏名が現在と異なる場合は、それらも併記しなければなりません。

■相手方



「相手方」欄には、借金を整理したい相手方の氏名(業者の場合は法人名)と、所在地を書きます。

借入先の業者によっては、借金の管理が別の支店に移っていることもありますが、この場合は、現在管理している所を書いてください。また、会社名は正式な名称で書かなければなりません。(例:A金融→株式会社A金融)
 

■債務の種類



「債務の種類」欄には、該当する欄にレ点をします。 

■借受金額等



「借受金額等」欄には、1番最初の借受年月日を書きます。借り増しや切り替えをして新たに契約書を作っている場合でも、それ以前の借受年月日を書かなければなりません。はっきり分からなければ空欄のままにする必要があります。 

■返済状況



「返済状況」欄には、返済年月日ごとに返済金額を具体的に書きます。

はっきり分からない場合は、現在の残額を記載してください。

財産状況等明細書・権利関係者一覧表についても、裁判所のホームページで記入方法が細かく解説されているので、そちらを参考に必要事項を埋めていくといいでしょう。

 

②戸籍謄本・住民票

申立人が自営業など事業者である場合は、資格証明書(現在事項全部証明書または代表者事項証明書)も必要になることがあります。

資格証明書は、法人の本店の所在地を管轄する法務局にて取得してください。

提出を省略できる場合もあるので、申立先の簡易裁判所に問い合わせる必要があります。
 

③所得が確認できる資料

給与明細書、通帳のコピーなどが必要です。
 

④借入状況が分かる資料

これまでの返済状況が分かる資料として、契約書や領収書などを用意してください。

 

2.かかる費用

先述のとおり、1社あたり1,000円掛からない金額で手続きをすることができます。東京簡易裁判所の場合は、相手方1人(1社)について500円分の収入印紙と420円分(82円切手×5枚、10円切手×1枚)の郵便切手が必要です。これらはどちらも郵便局で購入できます。
 
ただし、相手方1人(1社)に対する債務額元本が1,666,666円を超える場合は、追納の必要が生じることがあるので、このような場合はあらかじめ申立先簡易裁判所に問い合わせた方が無難です。
 

3.裁判所での手続き内容

①調停委員会の構成

申立を受けた裁判所は、調停を進めるために調停委員を指定します。そして調停主任となる裁判官1名と調停委員(一般的には2名)による調停委員会を構成します。調停委員は弁護士のほか、高い専門知識を有する有識者から選任されます。
 

②調停期日の通知

申立後、1~2週間後に裁判所から呼び出し日を通知する書類が郵送されます。

そして、おおよそ申立後1~2ヶ月後に調停期日が指定されます。指定された日に裁判所へ出頭します。
 

③第1回調停期日

第1回の調停期日では、申立人と調停委員による面接が行われますが、相手方は呼び出されません。

面接では、申立人の収入・返済状況の確認から、今後の生活や返済予定などについて、調停委員から事細かに尋ねられます。

しっかりとした返済計画を示し、返済する意思があることを調停委員に伝えることができれば充分ですが、不安な方は、事前にメモなどを作っておくと良いでしょう。
 

④第2回調停期日以降

前回の調停期日から1ヶ月後程度に、2回目の調停期日の呼び出しが掛かります。1回目の話し合いで整理した内容をもとに、申立人・調停委員と相手方を交えた3者間で話し合いが行われます。

基本的には相手方と直接交渉することは滅多にありませんし、相手方は欠席することが多いので、電話でのやり取りが中心となるケースも珍しくありません。3回程度の調停期日で折り合いがつかなければ、不成立となる可能性が高いです。
 

⑤調停調書の作成

調停委員を交えて返済計画が無事にまとまった上で、申立人と相手方での合意が得られると、合意した内容が記載された調停調書が作成されます。

繰り返しますが、調停調書は判決と同じ効力が認められているため、返済が滞った場合には相手方は訴訟などをしなくても給料等の財産を差し押さえられることが可能です。

 

調整調書の作成までには、通常、申立てからおおよそ2ヶ月程度の期間を目安に考えてください。
 

⑥返済開始

合意した内容に従って、借金の返済を開始します。
 

4.申立て後にやるべきこと

①相手方への連絡

これは、裁判所から相手方に対しても特定調停申立受理通知等が郵送されるので、必須のことではありません。ただし、現在も取り立てが行われていて返済が苦しい場合は、まずは相手方に電話などで「特定調停を申し立てた」という連絡をしましょう。
 
申立書類を提出すると、引き替えに受付票がもらえます。この受付票に書いてある事件番号と特定調停を申し立てた旨を相手方に伝えれば、すぐに取り立てがストップします。調停が始まるまでの間はお金を返す必要がないので、普段通りの生活をして問題ありません。
 

②調停期日のスケジュール調整

現在、就労中の場合は、調停期日(平日になります)には裁判所に行く必要があるので、スケジュールの調整を忘れずに行いましょう。調停時間は30分~1時間程度と短いものですが、調停の成立後の手続きには1~2時間程度の時間がかかります。

 

特定調停を成功させたい人が取るべき行動

上記のことから、任意整理と比べると特定調停は債権者に寄るところが大きいことがわかりました。

そのため、特定調停を成功させる上で、債権者が納得するための入念な準備が必要です。そこで特定調停を成功させたい人が取るべき行動についてまとめました。
 

1.特定調停の話し合いの肝を知る

まず特定調停における話し合い自体はさほど難しいものではありませんが、冷静沈着に、きちんと数字を明確化して返済計画を練ることが必要です。

返済計画の内容は、特定調停の話し合いの肝になるので、絶対に、無理な返済計画を言ってはなりません。

収入や月々の最低生活費を元に、無理のない返済額を算出してください。

話し合いがまとまらない場合は、2回目期日、3回目期日まで調停が持ち込んでも大丈夫です。

 

2.調停成立のためのコツを知る

次に特定調停を成立させるためには、債権者を納得させる返済金額を提示する必要があります。
 

①現実的な返済額を提示すること

例えば、月5,000円×80回払いなど、あまりにも非現実的な返済額を提示し続けるのはやめましょう。調停が不成立に終わってしまう可能性が非常に高くなります。ギリギリの線で交渉することを心掛けるのが大切です。
 

②返済金額をステップアップ方式にしてもらう

特定調停は、3年~5で返済をすることが目安になります。したがって、最大60回までの分割払いが利用できると考えて良いのですが、これを5,000円×12回、10,000円×12回、15,000円×12回など、ステップアップで返済していくという方法を提示するのも有効です。
 
特に、自分の要求と相手方の要求がどうしても折り合わない場合などは、このような方法を検討してみても良いでしょう。
 

③理不尽な調停委員には屈しない

調停委員にも様々な人がいますが、申立人に対して高圧的な態度を取る調停委員はゼロではありません。
もしもそのような調停委員に当たってしまった場合、相場よりも高い金額での和解を勧められるかもしれませんが、自分の希望する返済方法を強く主張しましょう。ただし、あまり自分の主張や希望を押し通そうとしすぎると、結局不調となってしまい調停を申し立てた意味がなくなってしまいます。折れるべきところは折れる必要があることも自覚しましょう。
 

3.法テラスを利用して任意整理を行う

再三申し上げますが、特定調停を選択させる方の多くが任意整理で借金を整理できる方と近い状況にいると思いますが、任意整理を行った方が債務者により負担のない結果が待っています。

しかし、特定調停を行う人の多くが任意整理に必要な専門家費用を用意する余裕がありません。

そこで法テラスの民事法律扶助制度を利用しながら、任意整理を行うのも一つの手段です。
 

民事法律扶助制度とは

民事法律扶助制度とは、専門家費用を用意するのが難しい方を対象に、専門家費用を立て替えるための、法テラスの制度です。

立て替えた専門家費用は月額5000で、法テラスへ返済しなければなりませんが、報酬金や着手金などの専門家費用を安く抑えることができます。


しかしながら、民事法律扶助制度は、ある一定の所得水準を下回っている方が対象の制度です。

詳しくは「債務整理の弁護士費用の相場|安く効果的な弁護士を選ぶ方法」を参考にしてください。
 

特定調停をすべき人の特徴と他の債務整理との比較

では、どのような方が特定調停を利用するべきなのでしょうか。他の債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)との比較を兼ねて説明していきます。
 

特定調停をすべき人の特徴

任意整理と似た効果を期待する人

まず特定調停を行うべき人は、任意整理を行うことで借金の負担を減らすことができる人です。

 

  • 引き直し計算により借金の減額が可能である
  • 利息の免除
  • 遅延損害金の免除

 

主に上記の効果が期待できますが、引き直し計算については法律事務所へ相談することをオススメします。
 

どうしても費用を抑えたい人

しかし、任意整理は法律の専門家を介して行われるため、手続きにかかる費用がばかになりません。

特定調停は弁護士に依頼する必要がないだけでなく、裁判所への申立費用も低額なため、費用を抑えたい人に最適です。
 

過払い金が発生していない人

また、任意整理を行う方の多くは、何社もの賃金業者と、引き直し計算による借金の減額交渉を行いますが、

賃金業者の中には、引き直し計算を行った結果、過払い金が発生している業社が含まれているかもしれません。

先ほどもお伝えした通り、任意整理においては、過払い金請求も並行して行うことが可能ですが、特定調停では過払い金請求を並行して行うことができません。

引き直し計算に関しては法律事務所の無料相談に含まれている場合が多いので、事前に過払い金が発生していないか確かめるためにも、特定調停を行う前に専門家へ相談しましょう。
 

ある程度自分でやりきると決めている方

特定調停は手続きが簡易的と言われていますが、申立から調停委員との話合いまで全て自分で行わなければなりません。そのため、人の手を借りずに自分でやりきる気持ちがある方に特定調停が適切です。
 

他の債務整理との比較

では、他の債務整理と比べてみた時の特定調停の特徴について確認していきます。
 

任意整理

再三、任意整理について記述してきましたが、任意整理と特定調停との違いは前者は完全に当事者間のみでの交渉であるのに対し、後者は裁判所の調停委員を媒介して行う交渉であるということです。

特定調停で債権者との間を取り持ってくれる調停委員は必ずしも借金問題に特化した専門家とは限りませんが、裁判所の手続きであることを重く見る債権者も多いと思われます。そのため、任意整理でうまくいかなかった場合でも、特定調停を申し立てればうまくいったということもあるでしょう。
 
【参照】
▶「任意整理のデメリットとメリットの正しい知識まとめ
▶「任意整理とは|任意整理の知識と成功させる方法のまとめ
 

個人再生

個人再生は、特定調停と同様に裁判所を介して行う手続きです。また、特定調停と同じく、過払い金の請求はできません。しかし、借金の額が高額であるほど減額される借金の割合が高いです。もっとも、最終的には、一定以上の債権者の同意を得た上で裁判所から認可を得る必要があるため、ハードルはそれなりに高いです。

また、申立費用に関しては大体30万円ぐらいがかかるため、特定調停と比べて高額です。

個人再生は、手続きが複雑であるため、専門家へ依頼するのが一般的ですが、司法書士に依頼する場合で20万円~30万円、弁護士に依頼する場合で30万円~50万円の費用がかかります。
 
【参照】
▶「個人再生で借金を大幅に減らす手順と失敗しない為の注意点
▶「個人再生に必要な費用とできるだけ費用を抑える3つの方法
 

自己破産

自己破産もまた、裁判所を介して手続きが行われる上に、過払い金の請求をすることができません。

自己破産手続きでは、債務者に免責不許可事由がなければ、非免責債権(税金等)以外の債権は裁判所の免責許可決定によって全額免責されます。

しかしながら、特定調停と違い、手持ちの資産(住宅や車など)は一定の資産価値を超えるものは全て換価処分されてしまいます。さらに処分する資産がある場合、申立費用が高額になるかもしれません。
 
【参照】
▶「自己破産とは|自己破産の方法と破産後の生活の完全ガイド
▶「自己破産のデメリットとメリット|破産すべき人そうでない人
 

過払い金請求

過払い金請求とは、過払い金が借金の残高を上回っていた場合に、その余剰分を賃金業社へ請求するための手続きです。

特定調停との違いは、特定調停では、過払い金が請求できないことです。また、過払い金請求も、特定調停と同様に個人で手続きをすることができますが、専門家へ依頼した方が、高額な過払い金の返還が期待できます。

 
参照:「過払い金請求|メリットや返還請求方法・専門家選びの全知識
 

まとめ

いかがだったでしょうか。
 
特定調停は、法律の知識が少ない人でも比較的簡単に利用できる制度です。専門家を頼らずとも充分に手続きをすることができるので、任意整理を考える前に是非とも利用を検討してみてください。

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債務整理では、債権者と交渉する任意整理や法的に借金を減額する、個人再生や自己破産などがあります。また、過去の過払い金がある方は、過払い請求を行うことも可能です。

ただ、どれもある程度の法的な知識や交渉力が必要になってきます。債務整理をしたくてもなかなか踏み切れないあなたを債務整理ナビの弁護士・司法書士がサポートいたします。

編集部

本記事は債務整理ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債務整理ナビに掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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