代位弁済とは|知っておくべき7つのリスクと対処法

代位弁済とは|知っておくべき7つのリスクと対処法

代位弁済(だいいべんさい)とは、債務者(返済義務がある人)に代わり、利害関係にある第三者(保証会社など)利害関係にない保証人以外の第三者が(友人など)が、金融機関などに返済することです。

一般的には支払い期日から3か月以上が経過すると、代位弁済が行われます。その際、求償権(債務者への借金を返済してもらう権利)が貸金業者などから代位弁済した者へ移ります

そのため、返済先が代位弁済した者に変わるだけで、借金がなくなるわけではありません。代位弁済が行われた後は、金融機関に代わり代位弁済した者(主に保証会社)から返済の督促が行われます。

今回の記事では、代位弁済に関するリスク、その後の対処法などをご紹介します。

借金を滞納し続けている方へ

借金滞納が続くと、遅延損害金が発生する・一括での返済請求・給料や家財などの財産を差し押さえられるなどのリスクがあります。

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代位弁済とは|行った後は通知が来る

代位弁済はほとんどの場合、金融機関と連携している保証会社が行います。代位弁済を行ったことは金融機関と保証会社の両者から送られてくる『代位弁済の通知』によって債務者に知らされます。

代位弁済によって起こりうる7つのリスク

代位弁済が行われることによって、主に7つのリスクが発生する可能性があります。

【関連記事】借金の滞納はリスク大|借金滞納の危険性や対処法、弁護士についても解説

1:サービスの利用停止

ご利用の金融機関が提供しているサービスを利用することができなくなります。主に借入やクレジット機能などが利用することができなくなります。

公共料金や家賃、携帯料金をクレジットカード払いにしている場合は要注意です。

2:遅延損害金の発生

代位弁済が行われるまで滞納していた借金に対し、遅延損害金が課されます。また、代位弁済した借金の催促を無視して滞納すれば、さらに遅延損害金が増えることになります。

3:一括での返済を請求される

住宅ローンや自動車ローンを組む場合、借入金を分割で返済することが可能です。

しかし契約に違反してローンの支払いを怠った結果、契約上ローンの残額分と遅延損害金を一括して返済することになった場合、債務者に代わり保証会社がローン会社に一括して返済します。

その後、保証会社はローン残額分と遅延損害金を一括で支払うよう求めてきます。これができない場合は、持ち家や車については売却や引き上げがなされる可能性があります。

4:保証会社からの財産の差し押さえ

代位弁済が行われた段階で、債務者は分割で借金を返済する権利を失っている(期限の利益の損失)ため、上述の通り保証会社からは債務の全額を一括で請求されます。

もし、返済ができない場合、保証会社は債務者の財産を差し押さえる段取りに入るのが一般的です。

差し押さえの対象

差押さえの対象になる財産は、給料(手取りの1/4まで)、銀行預金、車、不動産、また換金価値のある物は全て対象に含まれます。

給料を差し押さえされた場合、会社に借金の事実が知られてしまうので、知られたくない人は絶対に回避する必要があります。

5:担保にかけられた住宅の競売

金融機関から自身の財産を担保にかけられていた場合、保証会社に残債務及び遅延損害金を返済できなければその財産は保証会社から競売にかけられます。

代位弁済における競売は住宅ローンにおいて取り上げられることが多いのですが、それは住宅ローンを組む際、銀行から住宅へ担保(抵当権)をかけられるためです。

競売によって換金されたお金は借金の弁済に充てられますが、全額の弁済に至らなかった場合、保証会社へ残額分の返済をしなければなりません。

6:保証人への督促

借金に保証人がついている場合、保証会社から保証会社の負担部分を超える金額分について保証人へ返済の督促が行われます(民法第501条第2項括弧書き)。

債務者が返済できない場合、保証人に返済する義務が生じますが、特に連帯保証人の返済義務は債務者の状況に関わらず発生します。

そのため代位弁済が行われた時点で保証人と借金の返済について話し合いましょう。

7:個人信用情報機関への事故登録

代位弁済が行われた時点で、個人信用情報機関へ事故情報(ブラックリスト)として登録されます。一度、ブラックリストへ登録されると削除されるまでの間、クレジットカードの発行、新規の借入、車のローンなどを組むことができません。

代位弁済における個人信用情報機関への登録期間は5年間を目安にしてください。

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代位弁済が行われた場合の対処方法

実際に代位弁済が行われたけど、返済する当てがない場合、どうすればいいでしょうか。

金融機関との返済方法に関する交渉|任意整理

まずは代位弁済の通知が届いた時点で、通知元の金融機関へ相談しにいきましょう。その際、返済する意思があることを伝えた上で、今後の返済の段取りについて話すことが好ましいです。

また、相談の際は金融機関へ返済可能であることを納得させなければなりません。そのため、相談に行く前に現在の収入、月々の返済金額、返済期間を含めた返済計画書を作成しましょう。

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専門家に依頼して任意整理

しかしながら、話合いに金融機関側が応じない可能性もあるので、その場合は専門家を介して返済に関する交渉(任意整理)を行いましょう。

交渉が上手くいけば、利息、遅延損害金を免除した借金を3~5年で返済する条件になることがあります

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親族からお金を借りて返済する

また、借金の金額次第では親族からお金を借りて返済するのも一つの手です。代位弁済後は分割で返済することができないため、一括で返済しなければなりません。

返済ができない場合、手持ちの財産は差押えにかけられてしまうので、差し押さえを回避するためにも借りることが可能であるならば親族を当てにしましょう。

住宅を競売にかけられた場合の対処方法

住宅ローンにおける代位弁済では、住宅は競売にかけられてしまう可能性が高いですが、競売は裁判所が事務的に行う売却方法であるため、一般的には相場よりも低い価額で売却が行われますと言われています。

任意売却により高額で売却する

そこで少しでも高額な値段で売却するために、住宅が競売にかけられそうになった場合には任意売却を行うのが一般的です。裁判所からの介入がないため、実際には債権者とも相談の上、不動産コンサルタントに依頼しながら行われます。

競売と比較した時のメリット

競売と比較した時に任意売却の特徴は以下の通りです。

任意売却

競売

売却される金額

相場に近い金額

相場の半額

裁判所の介入

×

退去日の調整

×

また任意売却を行う上で、「連帯保証人」、「債権者」、「買い手」の三つの同意が必要になりますが詳しくは以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】任意売却の仕組みとは?競売との違いや業者を選ぶ7つのポイントを解説

リースバック

住宅を競売にかけられたけど、そのまま住宅に住み続ける方法としてリースバックがあります。リースバックとは、不動産投資家や親せきなど第三者に自宅を買い取ってもらい、住宅に住み続けることで自宅を維持する方法です。一般的には、買い取り主に大家になってもらい住宅を賃貸する形式が取られます。

利用する上で、気を付けなければいけない点は、以下の点です。

  • 賃料
  • 譲渡税
  • 売却価格
  • 第2次納税義務

賃料

任意売却後、残った住宅ローンの返済が残ります。リースバックを利用すると、残った分の返済金額に続きの家賃が上乗せされるため、利用者に無理のない範囲で賃料を設定することが必要です。以下2点が安い賃料で借りるためのポイントになります。

  • 安い金額での売却
  • 親族に買い取ってもらう

注意点として、売却時の値段が安くなるほど、住宅ローンの余りの返済金額は上がります。

譲渡税

住宅の売却における譲渡税は、3000万円以下の売却においては、ほとんど発生しません。親族間における売買においてのみ、売却する値段に問わず譲渡税が発生する可能性が高くなることが注意点です。

売却価格

市場価格の1/2以下の金額で、売却を行うと贈与税が発生します。安い売却に関して金融機関の同意がおりないことからも、市場価格からかけ離れすぎない金額での売却が必要です。

詳しくは専門の税理士にご相談ください。

第2次納税義務

税金の滞納がある状態のまま、親族へ住宅を買い取ってもらった場合、滞納した税金の支払い義務が親族へ課されることを第2次納税義務といいます。買い取りを行う前に、税金の滞納がないか確認が必要です。

住宅ローンの巻き戻し

また、リースバック同様、競売にかけられた住宅に住み続ける方法として、住宅ローンの巻き戻しがあります。住宅ローンの巻き戻しとは、法律を介して代位弁済が行われる前の状態に戻すための制度です。

つまり保証会社の債権が銀行に戻り、今まで通りの住宅ローンの分割支払いに戻ります。また住宅が競売にかけられていても、競売を中止にすることが可能です。

住宅ローンの巻き戻しに関する特徴は以下の通りです。

  • 遅延している返済も個人再生の返済計画に含めることが可能
  • 既に競売にかけられていても利用可能
  • 手続きが複雑なため時間がかかる(個人再生の手続きが複雑)

また、既に保証会社へ返済をしてしまった場合でも、債権者が銀行に戻るため、その返済した分は保証会社から銀行へ支払われます。住宅ローンの滞納している方に向けた記事として以下の記事も参考にしてください。

【関連記事】住宅ローンを払えない人に訪れる今後と今からできる対処法

利用条件

利用するためには、個人再生の申し立てを住宅特別条項の制度を利用しながら行います。巻き戻しをするためには住宅特別条項に記載された条件を満たすことが必要です。

※個人再生とは:債務整理の一つであり、裁判所を介して、借金の減額を行い減額した借金の返済計画をたてるための手続き

巻き戻しをするために必要な特別条項は以下の通りです。

  • 代位弁済から半年以内の申し立てである
  • 裁判所からの個人再生の認可
  • 個人再生の返済計画と住宅ローンの返済が可能な経済力がある
  • 自分名義の住宅である

個人再生の手続きは複雑なため、法律の専門家へ相談することをオススメします。個人再生に関して、以下の記事も参考にしてください。

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個人再生とは?ほかの債務整理との違いや費用、手続きの流れなどを解説

この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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